chomoshのブログ

だいたいゲームのこと。

ときどさんの情熱大陸を見て

 ちょもすです。

 

tver.jp

 

2018/8/19までアーカイブが見れる。見るべし。

 

感想を端的に言えば、すごく嬉しくなった番組だった。

 

番組内でときどさんがことさらに強調していたのは、「(ゲームをひたすらにやり続ける)プロゲーマーは“変な人”達である」ということ。そして「最近それらが勝手に持ち上げられている」ということ。

 

多くの人が気づいていたけど表では言い出しづらかったそのことを、今日本で最も実績あるプロゲーマーの一人がテレビ番組で強調したことは、すごく意味のあることだと思う。

 

 

藤村:僕は結構冷めた目で見るというか、僕としてはただゲームをしているだけなのに、周りで持ち上げている人達がいて、調子に乗っている他のプレイヤーを見るとちょっと大丈夫なの?って思います。若い子はやっぱりそうなっちゃう人が多くて、いっぱいお金を出してもらえるので勘違いしちゃうのはしょうがないと思うんですが、自分の立ち位置を見失わないと言うか、浮かれすぎずにやっていってほしいなというのは周りを見て思いますね。過剰に持ち上げられすぎてて怖いなという思いは常にあります。

 

今や遠い人になってしまった藤村さんも最近インタビューでこんなことを言っていて、「やっぱり“藤村”なんだよなぁ」と思っていたんですよ。スト5で実績を残しまくっているこの二人が似たようなことを言っているのは興味深いことだし、今の立場でここまではっきりと言ってることはすごいことだと思う。

 

ここ数年で急に、ゲーム大会で優勝することはとても輝かしいことであり、プロゲーマーは素晴らしい人達であるみたいな空気を無理やり作られた気がしてならない。ゲームの大会で実績を残すことは確かに素晴らしいことなんだけれど、逆に言ってしまえばゲームの大会に優勝しただけ。プロのゲーマーになることも素晴らしいことだと思うんだけれど、じゃあそれがその辺の人に話しかけて凄いと思ってもらえることなのかという話で。

 

誤解のないようにいっておくと、それを誇らしいものだと評価してくれる世界はある。その世界で生きるならそれはかけがえのないことだと思うけれど、それはあくまでごく一部の世界でしかないのもきっとそうで、そのことを無視して素晴らしいものだとされすぎている、ということが僕の言いたいことである。

 

仮に僕が一流企業に履歴書を出すとなったときに、経歴に「Master of Agent 準優勝」だとか「Abema FRESH!杯 優勝 立った」だとか書けるのか、という話である。言ってしまえば一企業の商品のプロモーションの結果でしかないそのことに、どれほどの人が価値を見出すのか。あるいは、見出せるのか。

 

社会に通用しないから悪い、という話でもない。社会に通用しないから素晴らしくないとはならない。でもそういう価値観を持っている人が少なからずこの世にいることを、とかく無視した文脈が多すぎやしないだろうか。プロゲーマーとはとどのつまり狂人であって、狂人は尊敬されうるけれど、決して一般的なものではない。一般的でないからこそ、狂人なのである。そのことを、結果を残している人がしっかりと言葉にしてることに、僕は嬉しくなったのである。

 

僕のドラゴンクエストライバルズのデッキをコピーした挙句、モーモンを一枚別のカードに一秒で変えただけで「真ときど式ミネアが完成した」とか言い出すときどさんが狂人でないわけがないし、C.ヴァイパーで容赦なくハメまくってくるけどTERAを一日12時間くらいのペースで一緒に遊んでくれた(でもすぐ辞めた)藤村さんが狂人でないわけがない。

 

強くて、魅力があり、応援したい人達だと思うけれど、狂人であり、ハメ野郎であり、社会に全く適合していない生活を送っていた時代があったことも、また事実。そしてそのおかしさは、色んな人がもっと認めるべきだと思う。最近の流れは、対戦ゲーマーのだらしなさ、どうしようもなさ、くだらなさから、目を背けている。対戦ゲーマーという人種がどうしようもない人間だらけであることは、対戦ゲームを続けている時間が長ければ長いほど、わかっているはずなのに。

 

ときどさんが真に凄いのは、それを認めたうえで、その見え方と戦っているところ。誤解を恐れずに言えば、ジャンルに限らず多くのどうしようもないプロゲーマーがどうしようもないことで足を引っ張るのはわかりきっているはずなのに、ときどさんはプロゲーマーとして世間と戦う、という。番組や配信を見る限りそれも徹底的にやっている。表情の作り方はどう考えても研究しているし、ゲームも当然にうまくて、偏見と戦うべく体まで作りこんでいる。そして面白い。不快にもならない。すごい。すごいとしかいいようがない。それだけ思慮深く、そして行動できる人が、わざわざ一企業の商品でしかないゲームを人生をかけてやりこんでいる。その狂気。

 

 

 

いつかどこかでお会いできたら、色んなことを聞いてみたいなあ。そういえばデッキ代のジュースも、まだ奢ってもらってませんね。

 

それじゃあまた。