chomoshのブログ

だいたいゲームのこと。

『ペンギンの島』と家畜

ちょもすです。

 

ペンギンの島

ペンギンの島

  • Sangheon Kim
  • ゲーム
  • 無料

apps.apple.com

 

ゲーム自体はマジでなんのこともないクッキークリッカーなんですよ。ガワがかわいいペンギンのクッキクリッカー。ガワがペンギンのクッキークリッカーがやりたい人はやればいいし、ガワがペンギンのクッキークリッカーをやりたくない人はやらなくていい。そういうゲームなんですけど。

 

僕は定期的にクッキークリッカーをやりたくなる病気を持っているのでちょっと遊んでみたところ、このゲームにものすごい衝撃を受けました。何がって、広告への誘導がすごいんですよ。一般的に“良い”広告誘導だと思うんですけど、すごすぎて恐怖すら感じました。

 

他の無料系のアプリでもスタミナを回復させたり、1ゲーム後に30秒の広告が流れて世界に怒りの感情が少しだけ増えるのはもうおなじみの流れですね。僕たちは『マフィアシティ』の広告と、最近だと『ラストシェルター』の広告にインターネットを支配されていると言っても過言ではないでしょう。

 

しかしこの『ペンギンの島』、今まで僕がやってきた無料ゲームの比じゃないほど広告が出てくる、というか、すすんで広告を見てしまうようになっているんですね。

 

ペンギンの島には謎のクジラや謎のプレゼントボックスが定期的に流れてきて、それをタップすると今の収入の1000倍相当の資源が得られるようになっています。ただし、30秒の広告を完遂すれば。

 

まともにプレイするなら30秒の広告を見る以外ありえません。1000倍なので。ゲームバランス的にもこの広告を見ないとアップグレードに途方もない時間を費やすようにできていて、逆に広告を見ればトントン拍子でアップグレードできるようになっています。広告を見る見ないの選択肢は実質的になく、恐らくほとんどのプレイヤーが1000倍の資源を得るために30秒の広告を見るわけです。それもめちゃめちゃ喜んで。

 

しかもクジラとプレゼントボックスは一日一回とかそういう類のものかと思いきや、モリモリ流れてくる。モリモリ流れてくるから1000倍の資源を得るために広告を30秒見る。そしてアップグレードする。アップグレードするとまた1000倍の資源が必要になるので広告を30秒見る。そのうちこのゲームが『ペンギンの島』なのか『ラストシェルター』なのかよくわからなくなってきます。もうすげえなと。

 

これはあくまで僕の予想でしかないんですが、このゲームは「面白いゲームを作ろう」を起点に作られたゲームじゃなくて、「30秒の広告を効率よく大多数に完遂させるにはどうしたらいいか」ってことを起点に作られたアプリだと思うんですよ。その一つの結論がクッキークリッカーというゲームで、キャッチーな見た目としてペンギンのかわいらしい日常を切り取ることにしたと思うんです。

 

それを遊んでてひしひしと感じてしまって、確かにクッキークリッカーだから面白いしペンギンもかわいらしいんだけど、怖くなってしまった。

 

いやでも、別に悪いことじゃないというか、なんならこのゲームをやる人達が望んでいることって「何不自由なく餌を食いたい」みたいな欲求だと思うんですね。僕もそういう動機で遊んだので。作ってるほうからすれば自ら豚小屋に入ってくる豚に餌を食わせて何が悪いんだという話だし、遊んでる方も作ってる方もどっちも幸せでハッピーなゲームだと思うんですけど、あまりに効率化されているとディストピア的なものを感じますよね。多くの人がハッピーなレビューを出している点も含めて。

 

今までのゲームにも大なり小なりこの構図はありましたけど、あまりにそれが効率化されてるとこういう感想も抱きうるんだなということに気づいた、2019年の夏の終わりでした。

 

 

それじゃあまた。