chomoshのブログ

だいたいゲームのこと。

『ヒットの設計図 ポケモンGOからトランプ現象まで』を読みました

ちょもすです。

 

ヒットの設計図――ポケモンGOからトランプ現象まで

ヒットの設計図――ポケモンGOからトランプ現象まで

 

 

読んだ。面白い。

 

人は「なじみのあるもの」を好む。

易しく感じる思考を言い表す心理学用語もある。幸い脳にあまり負担のかからない言葉だ。「流暢性」という。分かりやすい考え方や商品は、脳で素早く処理され、私たちの気分もよくしてくれる。

中略

流暢性を生じさせる大事な要素の一つが「なじみ感」である。よく知っている考え方は脳が処理しやすく、メンタルマップ(認知地図)の中に収納しやすい。人は美術作品を見て、以前にこれが有名な作品だと習ったことを思い出すと、「あ、これだ!」という認識の喜びを感じ、その高揚感が作品から来たものだと思ってしまう。

 

自分に理解できるものは気持ちいい。自分が見るNetflixの動画を考えても、ウマ娘を考えても、バズっているツイートを振り返っても、共感しかない。このブログ一つとっても、今までたくさん見られた記事に共通するのは、この「なじみ感」の強いものだったと思う。

 

自分で言うのもなんだけど、このブログはある程度「なじみ感」を意識している。もちろんその言葉は今回知ったけれど。出来るだけオタクにとって親しみやすいワードやら言い回しやらを多用しているので、内容の是非や質はともかく読みやすさは一定以上保証されている、と思う。

 

僕は他人の文章を見てよく「才能の塊じゃん……」みたいな打ちひしがれ方をよくする。こんな人が文字書いてるならもう僕が書かなくてもいいのではと思う。自分の学の無さにも絶望する。でもそれらが全然読まれていなかったりして、世界に対して微妙な気持ちになることが多々あった。でも今ならそれも説明できる。「なじみ感」だ。自他ともに最近よく読まれてい記事の感想に多いのも実は「共感しかない」「言語化してくれてすごい」だったりする。

 

共感という言葉でぼんやりと自分の中で認識していたものが、「なじみ感」だとかそういうワードで説明されているのもまた、「なじみ感」が強くて心地よい。メタ「なじみ感」。

 

「流暢性」の魅力は明らかだ。しかし実は隠れた真実があり、私たちにはその反対の要素も少し必要である。人は、試練、衝撃、スキャンダルなどに直面して、思考を強制される状況を“少しだけ”欲する。

 

その中に少しだけ革新があると良いらしい。これは多すぎるとだめ。わかる。よく「出るのが十年早かったゲーム」なんて表現をするけど、それはすなわち「非流暢性」の高すぎるゲームであり、「なじみ感」がない、ということ。

 

本にはこれらを裏付ける研究だったりストーリーだったり、これらに関連した発見やら法則やらがつらつらと提示されていく。正直例示が多すぎていくつかは飛ばした。これはちゃんと読んでいないとの指摘には当たりません。もう一度読むきっかけを残しているだけです。ちょもすさんは賢いなあ。

 

他にも興味を引く話題や例示がもりだくさんで読んでて飽きない本でした。たぶんこれからもよく引用することになると思います。今年読み終わった中ではぶっちぎりで面白いです。エンターテイメントに関わる全ての人におすすめ。

 

以上になります。

 

それじゃあまた。